軟質ポリウレタンフォーム

Flexible polyurethane foam

主な特性

Primary Characteristic

(1)要求に応じて、いろいろな物性や性能を付与することが可能です。
ポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、整泡剤、触媒、あるいは必要に応じて着色剤、その他配合剤の組み合わせ、条件等を選択することにより、色々な用途に適した性能を付与することが可能です。すなわち、軽量で、クッション性、耐久性、衝撃吸収性、断熱性、耐熱性、耐薬品性、吸音性が良く、着色自由度が広い等の特長が発揮されます。さらに、軟質ポリウレタンフォームを自動車座席用シートに使用することで、軽量化による地球温暖化抑制効果を示しますし、健康指向に応じて抗菌性や体圧分散性を有した低反発弾性などの特徴ある性能を付与することが可能です。

(2)いろいろな形状の裁断、成形加工ができます。
軟質ポリウレタンフォームは平面や曲面あるいは、凹凸面やくり抜き加工や打ち抜き加工等が容易にでき、薄いシート状から定形品まで所定形状に自在に加工でき、熱圧縮成形も可能です。また、自由なデザインと寸法精度を有した自動車部品等では、型内で発泡させる「モールド成形品」なども使用されています。

(3)用途に応じていろいろな接着・一体加工方法が選択できます。
軟質ポリウレタンフォーム同士の他、金属類、布、レザー等との縫製や接着加工などによる複合化が容易にできますが、フォーム表面部を火炎に瞬間的にさらして熔融させ、接着させる「フレームラミネート加工」は風合いがよく、生産性が良い加工方法であります。

以上のように軟質ウレタンフォームは配合処方や裁断加工法により、他種プラスチック材とは異なる特長を有しており、自動車をはじめ日用家庭品から産業資材・工業資材・建築資材等などに幅広く使用されております。

硬さ及び圧縮応力ーひずみ特性

測定方法:JIS K 6400-2
硬さは寝具、インテリア類や家具を選択する際の目安となります。
厚さ50mm以上のウレタンマットレスについては、家庭用品品質表示法で「品質表示法」で定められた様式の下げ札を製品毎に取り付けるようになっています。購入に際しては、この品質表示札により硬さを確認することができます。

反発弾性

測定方法:JIS K 6400-3
軟質ポリウレタンフォームには高弾性フォームや低反発フォームといった表現が使用されています。
この高弾性や低反発の目安となるのが反発弾性です。
高弾性(高反発)フォームは反発弾性率が50%以上であり、圧縮後復元しやすく、ヘタリ にくいのが特長です。
低反発フォームは反発弾性率が15%程度以下で、枕・寝具・椅子等に用いますと感触が良いばかりで無く、局部的な圧迫が少なく体圧が全体に分散されるので血流阻害や床擦れ防止に効果的として近年介護商品等にも利用されています。

圧縮残留ひずみ及び圧縮繰り返し残留ひずみ

測定方法:JIS K 6400-4
<圧縮残留ひずみ>
ウレタンフォームを圧縮し、その後解放した時の厚みの低減率を測定する方法です。元の厚さの75%まで圧縮した状態のウレタン試験片を、70℃±1℃の恒温槽の中で22時間保存し、その後圧縮から解放して高温下で30分放置した後で厚さが何%減少するかを測定します。この数値が小さいほど、圧縮に対する耐久性が高いということになります。

<圧縮繰り返し残留ひずみ>
ウレタンフォームに繰り返し荷重がかかったときの硬さの低下率を測定する方法です。
まず、ウレタンフォームを厚み方向で40%圧縮したときの硬さを測定します。
その後、750N荷重の繰り返し圧縮を毎分70回、連続8万回行った後に再度、40%硬さを測定し、それらの結果をもとに低下率を算出します。
JIS規格(JIS K 6401)では、硬さ低下率のレベルをX,V,S、A、Lでクラス分けしています。

引張強さ、伸び及び引裂強さ

測定方法:JIS K 6400-5
<引張強さ>
引張試験機を用いて試験片を引っ張り、破断時の引張強さと伸び率を求めます。
軟質ポリウレタンフォームにはエーテルフォームとエステルフォームがありますが、エステルフォームはこの引張強さに優れる特長を有してます。

<引裂強さ>
引張試験機を用いて試験片を引っ張り、引裂強さを求めます。

燃焼性

測定方法:JIS K 6400-6
規定された装置を使用し、試験片を水平に置いて燃焼させた時の燃焼距離、燃焼速度、消化時間を求めます。
軟質ポリウレタンフォームの発火点は約410℃であり、木綿、新聞紙、木材等の天然材料や、アクリル、ナイロン等の合成衣料用繊維、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンフォーム等のプラスチック製品とほぼ同域を示します。
従って、これらと同様に、着火源無しで自然に発火するものではありません。
近年では技術が進み、燃えにくくした製品も開発されておりますが、近くに着火源もしくは発火源があると全く燃え出さない訳ではありません。
軟質ポリウレタンフォームは着火した時、初期消火に失敗すると、わら・綿、紙・糸類、木材、他のゴム・プラスチック及びフォーム等と同様に燃焼が拡大する危険性があるので、共に消防法で「指定可燃物」に指定されています。火気を近づけない事と、所定量以上の大量保管時には「指定可燃物」の規定に従って下さい。

通気性

測定方法:JIS K 6400-7
通気性試験機を用いて、試験片面の前後で生じる圧力損失を一定に維持するために必要な通気量を求めます。
通気性を高めるには、発泡時にセルの大きさをコントロールし、セルの膜を減らすことで実現されます。
通気性の高い製品は通気性を求める用途に適しています。

熱老化性

測定方法:JIS K 6400-8
この測定方法は、軟質ポリウレタンフォームな どの軟質発泡材料の乾熱老化条件、湿熱老化条件及び材料 の物理特性を老化処理の前後で試験することに よる熱老化性の求め方を規定しています。
常温より高い条件で使用する場合などには、この熱老化性を参考に製品を選択することができます。